年々難しくなる、染めの作業。開き直らず、考えながら手を動かすのみ。いつも染めのことを考えながら生きてます。

新開 聡 (染場リーダー)

染色は、難しい。入社したばかりの頃は楽しくて仕方ありませんでしたが、年々、難しくなります。今は職場をハンドリングするのも僕の役目。チームで作業を進めていく中で、どうやったらミスなく、効率よく、1日の作業をこなせていけるかも考えないと。そこも含めて、難しいですね。

技術的にもまだまだ。最近は特にヘタだなぁと思います。器用な方じゃないから、毎日が精一杯。それでも、その時々の自分と向き合えるのが染めの作業でもあります。大変だけど、宝島染工での経験のすべてが自分にとって大事な出来事です。



宝島染工の服で印象深いのは、藍ムラを施したキュプラチェックのワークコートです。初めて見たときは、ずいぶん派手な服を作られたなあ……と戸惑いました。僕がお客さんなら気後れしてしまうでしょう。

でも、イベントでこのワークコートを着た人を見て納得したんです。「着るとこうなるのか」って。染めていただけでは気づけなかった柄の見え方にも、ハッとしました。単純に派手とかではなく、宝島の色は生活の一部としてもよく馴染んでいるんですね。



5年前、入社したばかりの頃は大学生で、染めが面白くて仕方なくて。やりがいも感じていました。ただ、経験を積むほどに、簡単に“やりがい”なんて口にできなくなりました。何度やっても思うような柄にならない……藍ムラのキュプラチェックのワークコートも、ダイナミックな柄を出すにはどう生地を寄せたらいいのか、試行錯誤の連続でした。

今も毎日、染めと格闘しています。天然染料だから見本と比べた時に色幅が出るのは仕方ないことで、仕方ないんだよって開き直るのも簡単。だけど、僕は開き直りたくないんです。染める度に考えながら手を動かし続ければ、きっと限りなく色幅を狭められるようになる。そう信じて、24時間ほぼ一日中、染めのことを考えながら生きてます。上がりを気にし過ぎて頭おかしくなりそうだけど、それだけすべてが上手くいった時の喜びも大きい。この喜びが本当のやりがいなのかもしれません。

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